「産業医」と一口に言っても、その役割や仕事内容は多種多様です。企業の規模や業種によっても産業医が注意すべき点、メリットなどが変わってくるので、ここでは産業医の主な仕事内容や導入に際して注意しておきたいポイントを中心にご紹介いたします。

産業医の必要性

企業は、労働者数が50人以上の事業場ごとに産業医を選任する義務(労働安全衛生法 第13条)が発生ます。2019年春より『働き方改革関連法』が施行され、産業医の権限が強化されるなど、産業医の果たす役割が非常に注目されています。そのような変革の中で、産業医は『労働安全衛生法』を基に、職場における労働者の安全や健康の管理を医学的な視点から指導・助言を行います。

主な産業医の実務

  • (安全)衛生委員会への参加
  • 職場の巡視
  • 健康診断実施後の措置(健診事後措置)
  • ストレスチェック実施者
  • 産業医面談(健診実施後の就業区分判定、高ストレス者、メンタル不調者、過重(長時間)労働者、復職時の支援、健康相談など)の実施

具体的な仕事内容

衛生委員会への出席

・労働災害発生状況報告
・過重(長時間)労働者の報告
・週次巡視結果の報告
・労働衛生教育講話の実施
・その他(職場の労働衛生改善事項)

労働衛生教育の実施

労働衛生教育は法令で定められた内容です。
労働衛生教育は、入社時だけでなく、継続的に実施する必要があります。
メンタル不調やハラスメントなどは定期的に繰り返し教育することで効果が出てきます。

職場巡視

労働安全衛生規則で定められた項目を以下のペースで実施
・産業医に月1回以上(条件を満たすことで、2ヶ月に1回でも可)
・衛生管理者による週1回の巡視

衛生管理者に基本のテンプレートをお渡しし、巡視記録の作成を簡素化しています。

各種相談・面談

産業医
・健康相談
・健康診断後の就業区分判定面談
・ストレスチェック後の高ストレス者面談
・過重(長時間)労働面談
・復職(メンタル、産休・育休)面談
 ⇒復職支援プログラムの提案
 ⇒復職判定および判定委員会参加

・治療と仕事の両立支援相談

保健師
・復職後経過観察面談
・健康診断実施後の保健指導
・治療と仕事の両立支援相談

ストレスチェック

・実施者(共同実施者)

・集団分析
・面接指導
・セルフケア/ラインケア研修

過重(長時間)労働面談、長時間労働者指導

・月80時間以上の時間外労働(残業・休日出勤)をしている労働者に対する面接指導
・職場環境の確認と是正に対する助言

産業医が必要になるケース

労働者の健康面はもちろんですが、日常的な勤務中のミスなどが目立つ場合や、従業員の家庭環境が複雑な場合など、企業運営では様々なシチュエーションが想定できます。

産業医を導入することで事前に防ぐことができるリスクも多数あります。

こんな場合は産業医に相談!!

01 遅刻、早退、欠勤が急に増えた従業員がいる。

02 急に単純ミスが増えた従業員がいる。

03 特定の部署だけ人の入れ替わりが激しい。

04 家族に要介護者がいる従業員がいる。

05 健康診断後、受診勧奨をしても受診しない従業員がいる。

06 過重(長時間)労働になっている従業員がいる。

07 がんなどの治療をしながら働いている従業員がいる。

こちらもご覧下さい。

労働安全衛生法について

「常時50人以上の労働者がいる事業所において、事業者は産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならない」(労働安全衛生法13条)とあるように、産業医の選任は義務となっています。

企業には働く人の病気や怪我の予防と、健康と安全を守る義務があります。 

労働安全衛生法(安衛法)は、1972年より健康診断の実施義務、 2006年より過重労働面談の実施義務、2015年よりストレスチェックの実施義務が追加されてきました。

労働者の心身の問題を早期に発見して、脳卒中・心筋梗塞などによる突然死、 過労と心労による自殺を予防することが、企業には法的に義務付けられています。

労働者が1000名を超える大企業の事業場には「専属の産業医」の設置が、労働者50~1000名未満の中企業の事業場では「 嘱託の産業医」の設置が義務付けられています。労働者50名未満の小企業では、上記のような健康配慮義務を果たそうにも、 企業の人事担当者には相談相手がいない、という現状があります。

この相談相手として利用いただきたいのが弊会の『スポット産業医サービス』です。

日本の全労働者の45%はこの小企業に勤務しており、産業保健スタッフのサポートを受けられていない現状はとても危険です。 病を持って働く人に対する適切な配慮を、企業の人事労務担当者に助言する人がいるかどうかは、極めて大きな問題です。

起きてからでは遅すぎる高額な賠償金と刑事罰

事例その1

印刷工場に勤務する労働者が14人胆管癌と診断され、そのうち9名が亡くなりました。その原因としてある化学物質が特定されました。この企業は2014年に労働安全衛生法違反(産業医の未選任)による刑事罰を受けました。(2012年大阪市)

事例その2

てんかんの持病を持つ男性が運転する車が歩行者をはね、8名が死亡するという痛ましい事故が起きました。 被害者の遺族が、加害者の勤務先だった京都市東山区の藍染め販売会社に計約6100万円の損害賠償を求め、京都地裁(上田賀代裁判官)はそれぞれの賠償責任を認め、計約5200万円を連帯して支払えという判決を出しました。この企業は従業員数50人未満で、産業医の選任義務がなかったのですが、もし、産業医がいれば、この事故は防げた可能性があります。(2012年京都市)

事例その3

月100時間以上の残業が続いていた社員が勤務中に脳幹出血を起こして死亡しました。遺族が実質的にシフトの権限を持っていた管理者を訴訟しました。
※民事訴訟は社長だけでなく、管理者の方々も訴えられるリスクがあります。

 

産業医のお問合せについて

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担当者よりあらためてご連絡させていただきます。

担当者 労働衛生コンシェル 宮﨑徳仁

月曜日~金曜日/9:00~17:30

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